作者:マーティ・ケーガン

翻訳者:インターンスタッフ(アーテリジェンス)


1、ディスカバリーとデリバリー


ディスカバリーとデリバリーの定義

多くのプロダクト業界で働く人たちはかなり難解な問題に取り組んでおり、大抵相当難しいシステムを用いてそれを解決します。中でも、二つとても重要な問題があります:


一つ目は顧客のためのソリューションを考え抜くこと(ディスカバリー)です。このソリューションを必要としている顧客が十分に存在するソリューションを考えること、そしてビジネス的にも、顧客にも通用するソリューションを考えることがこれに含まれます。特に難しいのが、特定の個人ではなく多くの顧客に受け入れられるソリューションを考えなければならないことです。これを行うためには、迅速に情報を取り込まなければなりません。


二つ目は、堅牢でスケーラブルな実装を行い、安定しており安心できる価値を顧客に提供すること(デリバリー)です。チームは自信を持って世にプロダクトを出さなければなりません。100%でなくても「祈りながらリリースする」ようなことはないようにしなければならないのです。


なので、迅速に情報を取り込むことと、自信を持って提供することを同時に行わなければならないのです。


ディスカバリーとデリバリーを同時に行うことの難しさ

多くのチームが自然とこの二つの問題が矛盾していると考えてしまうことは仕方ないでしょう。早く何が通用して何が通用しないのかを仮説検証を通して知りたいけれど、完璧でないものをリリースして顧客を逃したりブランドに泥を塗るようなことはしたくありません。


私はプロダクトチームにアドバイスをすることに多くの時間を費やしています。その中で、一時は迅速にプロダクトをリリースし自分たちのアイデアに対しての顧客からのフィードバックを早くもらうようにと提言したと思いきや、次は自分たちが設定した基準に妥協せずに、抜かりのない、信頼できる、ハイパフォーマンスなソフトウェアを作れと提言し、指示が矛盾しているとの指摘を受けることがあります。


また、別の形でもこの問題は現れます。多くのチームは、Minimal Viable Product(MVP)の概念に大きな不満を抱いています。これは、一方では、「いち早く顧客へリリースし、フィードバックをもらおう」と熱意を持って考えているのに、もう一方で、「このいわゆる『プロダクト』が自分のブランドに泥を塗るのではないか?」と、「こんなものをローンチしていいのだろうか?」と悩んでしまうからです。


2、効果的なデリバリーの方法

なぜデリバリーが難しいのか?

この記事では、ディスカバリーのための迅速な仮説検証による情報取得とデリバリーのための堅実なリリースを強いチームはどのように同時進行で行っているのかというのを解説していきます。


一般的に、プロダクトチームは1番目の早いテンポでの仮説検証を行うことよりも、2番目の完成されたソフトウェアを提供することの方が、上手くできると思います。継続的にデリバリーを行うことはデリバリーの高度なテクニックの一つで、複雑なシステムに小さな変更を加え続けることの重要性を知っているチームしか理解が行き届いていないものだと思います。


混乱の一因は、「プロダクト」、「プロダクト品質」、「プロダクト化」、「プロダクション中」という用語の意味が希薄化しているということです。私はビジネスが実際にできる状態を説明する際、このような用語の使用を控えています。具体的に、説明する際は、「スケーラブルで必要な水準のパフォーマンスができる状態」と言っています。これは、リグレッションテストをクリアしており必要なアナリティクスを獲得できる状態であり、ローカライズとインターナショナライズを適したところで行われている状態であり、品質を維持できる状態であり、ブランドが保証することに沿っている状態であり、そして、最も重要なのが、自信を持ってリリースできる状態であるということです。


これは簡単ではありません。エンジニアが開発の作業をしている時一番時間を費やす部分です。なので、彼らの仕事を無下にしないように我々は努力しなければなりません。


開発の際に、プロダクトマネージャーが自分のチームのソリューションが顧客が必要としているものなのか確信していないような状態であれば、それは大きな無駄へと繋がるでしょう。


だからこそ、プロダクトディスカバリーの意味というのは、エンジニアが本番品質のソフトウェアを開発する際、その労力が無駄にならないことを保証する、ということです。


これがプロダクトディスカバリーに様々なテクニックが存在する理由です。ユーザーや顧客をより深く理解するテクニックや、定性的にも定量的にもプロダクトのアイデアを評価するテクニックが存在します。さらに、これらのほとんどはデベロッパーの時間を必要としません(本番品質のソフトウェアを作ることがどれだけの時間と労力を要するかということを考えると、これはとても重要なことです)。


効果的なプロダクトディスカバリーの方法


効果的なプロダクトディスカバリーは、いかに簡単な仮説検証をただ実装環境に押し込むことなく、顧客にアクセスできるかに尽きます。


もちろん、あなたが初期段階のスタートアップで、顧客がいない場合は特別問題にはなりません(そもそも、本番品質のソフトウェアを作るのは早すぎるかもしれません)。


しかし、ほとんどの人たちは実際の顧客と実際の収益が存在するため、プロダクトディスカバリーについてしっかりと考えなければなりません。「大成している企業でのプロダクトディスカバリー」という記事では、速いテンポでの仮説検証を実用的な方法で行うために一番重要なテクニックの多くをまとめています。


プロダクトディスカバリーのテクニックの多くは、新しいプロダクトアイデアを検証するためにいかに顧客や顧客になりそうな人たちを集めるかに尽きます。顧客開発プログラムは、このための優れた手段です。この人たちは検証対象となるために協力してくれたも同然なので、個人的にその人たちと話して新しいプロダクトアイデアを試しているところを観察してみたり、プロトタイプを試して彼らが残したデータを見ることもできます。


要点をまとめましょう。もし素晴らしいプロダクトを開発したいのであれば、本当の顧客とユーザーにできるだけ早くそして多く自分たちのアイデアをリリースすることが大切です。素晴らしいプロダクトを作りたいのであれば、エンジニアの不安を無視するのではなく、エンジニアを最適な方法で使わなければなりません。


もしディスカバリーを迅速に行い、早く行動したいのであれば、ディスカバリーのテクニックを使用して顧客をオプトインさせましょう。もし、プロダクトアイデアが良いものだという根拠となるものが見えてきたら、エンジニアに自信を持ってリリースできる、本番品質のソフトウェアを作ってもらいましょう。


注記:この記事は、SVPG社 (Silicon Valley Product  Group、https://svpg.com/) の制作記 事を、同社の許可を得て、アーテリジェンスのスタッフが無償で翻訳しています。本翻訳 記事の無断での複製・転載を禁じます。